昔と変わってきた雷
今年は雷が多いと感じている方もいるのではないだろうか。気象庁資料によると、落雷害が最も多いのは8月で、9月になると一気に減る傾向があるが、今年は9月に入っても猛暑が続き、雷も発生している。
雷には次の種類がある。
①熱雷 夏季の晴天時、高温になる午後に発生しやすい。下層の気温が低くなる夕方ごろにはおさまる。
②界雷 低気圧に伴う寒冷前線など、活発な不連続線に伴って発生し、発雷時間は30分~1時間程度。
③熱界雷 熱雷と界雷が合わさり、強い雷が長時間続く。
④渦雷 発達した低気圧や熱帯低気圧、台風などの付近で、積乱雲に伴って発生する。
このうち、近年、熱雷の発生原因が変わってきているという。5日、山岳気象アドバイザーの城所邦夫さんが長野県大町市での講演の中で話した。
これまで、熱雷は上空に寒気が入ると発生しやすいと考えられていた。上空の寒気と、強い日射で暖められた地表付近の空気との間に温度差ができ、大気の状態が不安定になって積乱雲が発生し、雷が起こる。つまり、上層と下層との温度差が雷を発生させる。このため、熱雷の定義のように、温度差が最も大きくなる晴天時の午後に起きやすかった。
しかし、最近は上空にそれほど強い寒気が入らなくても雷が発生し、しかも、晴天時の午後に限らず、夜間や早朝にも発生する傾向がある。原因は、上空に寒気が入ったときよりも、下層に南から暖かく湿った空気が入ることで上層と下層に温度差ができ、大気の状態が不安定になることが多いためという。城所さんによると、これも地球温暖化による現象の一つの可能性があるという。
最近は、夏に限らず春先から秋口まで暖気が入るため、雷の発生しやすい期間が長くなっているという。
また、「雷三日」ということわざがある。上空に入りこんだ寒気は3日ほどかけて通りすぎていくため、夏の雷は3日続いて起こることが多いという意味だが、このことわざも、雷を発生させる主犯が上空の寒気だけでないとなると通用しなくなってしまう。
雷が夏の風物詩と言えなくなり、昔のことわざが当てはまらなくなってしまうような、大きな気候変動が起きているとしたら……。真剣に向き合わないといけない時期がきていると感じた。
(窪田和恵)
※大町山岳博物館(長野県大町市)で開かれている企画展「山と雷」に合わせて、城所さんが山での落雷と対策について講演した。企画展では、雷発生のメカニズムや、1967(昭和42)年に起きた長野県立松本深志高校の北アルプス西穂高岳独標における遭難事故の資料などを展示している。9月26日まで。






