太郎雲・二郎雲
今日から8月。休日スタートとなった今年は、海水浴に夏祭りにと、夏を満喫された方も多いだろう。
ところで、夏と聞いて思い描くものはたくさんあるが、私が真っ先に思いつくのは、抜けるような青い空にそびえ立つ、どこまでも白い入道雲だ。
入道雲(雄大積雲や積乱雲)は目につきやすく、各地で独自の呼び名があることで知られている。たとえば、関東での呼び名は「坂東太郎」。坂東は足柄・碓氷から東の地方のことで、もともと坂東太郎は、坂東地方を流れる最も大きい川・利根川の異称だった。それが、利根川の上流で育った積乱雲が川に沿って下がってきて関東平野で暴れ回ったため、関東から利根川上流の方向に見える入道雲もそう呼ぶようになったと言われている。
同じように、九州地方での呼び名「筑紫二郎」も、本来は筑後川の異称だが、上流方向にできる入道雲を指す場合もあるそうだ。ほかに、京阪地方の丹波太郎、山陰地方の石見太郎、山口県の豊後太郎、四国地方の四国三郎などがある。
それにしても、人の名前が多く、親しみがこめられている気がする。入道雲がきて暴れ回ったといっても、農家にとっては恵みの雨でもあったからだろうか。
各地に独自の呼び名があるのは、決まった方向に入道雲ができやすいことも意味している。少しのあいだ見ているだけで成長していくのが分かる夏の入道雲は、強い太陽の日射で地面が暖められ、強い上昇気流が発生することでできる。入道雲が見える方角は、たとえば山があるなどして、強い上昇気流が起きやすい場所だ。
私が愛知県知多地域に住んで感じたのは、出身地の長野県と比べて夏に積乱雲を見る機会がずっと少ないこと。山地のある北の遠くの方に見ることがある。
夏になると、決まった方角から姿を現す太郎さんや二郎さん。この夏、会いにいってみてはいかがだろう。
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屋根の上から顔を出した入道雲 長野県松本市にて
(上の写真は同県伊那市にて)
● 8月の二十四節気・七十二候
2日 大雨ときどき降る…時として大雨が降る
7日 【立秋】 涼風至る…涼しい風が立ち始める
13日 寒蝉(ひぐらし)鳴く…ひぐらしが鳴き始める
18日 蒙霧升降う(ふかききりまとう)…深い霧が立ち込める
23日 【処暑】 綿のはなしべ開く…綿を包むガクが開く
28日 天地はじめて粛(さむ)し…ようやく暑さが鎮まる
(窪田和恵)






