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シラタマホシクサの季節・葦毛湿原


[2010-08-28 11:38:32]

愛知県豊橋市にある葦毛(いもう)湿原で、伊勢湾沿岸の湿地だけに見られるシラタマホシクサ(環境省レッドデータブック・絶滅危惧Ⅱ類)の花が咲き始めている。真夏のような暑さが続いているが、植物はしっかりと晩夏を知らせている。


siratama.jpg
シラタマホシクサと不思議な形をしたクモの巣


up.jpg
シラタマホシクサの花


直立した20~40cmほどの花茎に、6~8mmの白い綿毛が密集したような花をつける。漢字で「白玉星草」と書くロマンチックな名前。遠くから見ると、草むらに星が散りばめられているよう。


ほかに、夏の花・ヒメシロネやミカヅキグサ、シラサギが翼を広げたようなサギソウ、同県武豊町の壱町田湿地にも見られる食虫植物・ミミカキグサの仲間もまだ咲いていた。


sagisou.jpg
サギソウ


葦毛湿原は、愛知県と静岡県の県境にある弓張山地によって三方を囲まれた、標高70m前後の緩やかな傾斜地に広がる「湧水湿地」。湿地面積は約3.2ha。周辺には約250種の植物が生育し、分布が伊勢湾周辺に限られる植物や、温暖な地にありながら寒冷地性の植物もある。県の天然記念物に指定されている。


ところで、長野県出身の私が湿地と聞いてイメージするのは、冷たい水が流れ、春にはミズバショウが咲く霧ケ峰高原の八島ケ原湿原や尾瀬ケ原のような場所だった。これらは、植物が分解されずに堆積してできた泥炭が多量に蓄積した湿原、いわゆる「高層湿原」で、葦毛湿原や壱町田湿地のような温暖な地方の湿地とは成因、気候、植生もまったく異なる。


湿地にはどんな種類があるのか、気になって調べたところ、これまでさまざまな分類が提案されているものの、世界共通の統一的な分類体系はまだ確立されていないようだ。その原因の一つに、生態系の複雑さがあるという。それだけ湿地は、地質や地形、気候、生物の分布が多様で、どの湿地も独特であると言えるのかもしれない。


初めて温暖な地域の湿地を訪れたとき、モウセンゴケなどの食虫植物が自生していること、それらが名前とは似つかわしくない可憐な花を咲かせることを知って驚いた。今年はCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)もあり、生物多様性への関心が高まっている。遠くへ出かけるときは、環境省が生物多様性保全の観点から選定した「日本の重要湿地500」などを頼りに、その地域の湿地もちょっと訪ねてみてはどうだろう。見たことのないおもしろい植物や昆虫に会えるかもしれない。
(窪田和恵)


「日本の重要湿地500」  http://www.sizenken.biodic.go.jp/wetland/

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