雷の化石・美ケ原高原
お盆を過ぎても暑さがおさまらない。暖かく湿った空気も入って大気の状態が不安定になり、各地でにわか雨や落雷も起きている。ところで、雷といえば、長野県のほぼ中央にある美ケ原高原には“雷の化石”がある。
形のない雷が化石になるのかと不思議に思われるだろう。“雷の化石”とは、雷が落ちた記録が岩石に残されたものだ。
美ケ原高原の山頂・王ケ頭(2,034m)から、高原を歩いて少し下ったところにある王ケ鼻(2,008m)。ここの岩石は安山岩で、それを使って作られた山岳信仰の石仏群がある。
この石仏群や周辺の岩石に方位磁石を近づけてみる。すると、岩石から離れたところでは、針は北を指して安定するが、岩石の近くでは針が大きく振れ、北とはまったく違う方向を指してしまう。岩石が強い磁気を帯びているのだ。
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磁化した石(写真左)から離れたところでは、青い針は写真で下の方向を向き、本来の北を指している。
(写真の道具は、クリノメーターという地層を計測するもの。方位磁針にもなる)
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石に近づけると、針が大きく振れ、青い針は写真で左の方向を向いてしまう。
岩石は鉄などの磁気を帯びる成分を含んでいて、もともと弱い磁気を帯びている。岩石に雷が落ちると、十万分の一秒~数万分の一秒に、数千~数万アンペアという、ものすごい強さの電流が流れ、周りには強い磁界ができる。すると、岩石中の磁気を帯びる成分が、その磁界に対応して磁化し、岩石全体が強い磁気を帯びる。それは、雷が落ちた記録として長い間消えることなく残る。
落雷によって磁化した岩石は日本中にある。たとえば、山口県萩市・高山の「磁石石」や、和歌山県紀の川市・龍門山にある「磁石岩」がそうで、それぞれ国や県の天然記念物に指定されている。
岩がむき出しになっていて、雷の落ちやすいところには、こういった磁化した石があるかもしれない。
(窪田和恵)






