自然が知らせる暦「雪形」
晴天に恵まれた今年のGW。後半は初夏のような陽気となり、山岳地域でも一気に雪解けが進んだ。そんな雪解けの時期だけ山々に現れる模様がある。雪形だ。
雪形とは、山腹の岩肌と残雪が織り成す模様を、人が何かの形に見立てて名づけたもののことを言う。気象観測がなかった時代、雪形の多くは、農事暦として農作業の目安とされていた。自然に左右される農業では、その年の季節の進み具合を知るために、規則正しい暦よりも有効な手段だったようだ。
残雪の多い今年も、いよいよ雪形が現れ始めた。
北アルプス・爺ケ岳(じいがたけ)に現れた「種まき爺さん」。本来は、爺ケ岳の3つのピークのうち、南峰の東斜面に見えるものを言うようだが、南峰の西斜面に現れるものについても、そのように言われている。まさに、農作業に関連した名前の雪形で、山名の由来にもなっている。
写真は西斜面のもの。里では桜が見ごろだ。(4日、長野県大町市から撮影)
ほかに、北アルプスの有名な雪形に白馬岳の「代掻き馬」がある。里では、この雪形を見て代掻きの時期を知ったという。ちなみに、この雪形が白馬岳の由来になったのだが、もともとは「代馬(しろうま)岳」だったものが、地図製作時に誤って表記され、現在の山名になったという。
中央アルプス・千畳敷カール南側に現れるのは「島田娘」。写真中央部、島田まげを結った着物の娘が左を向いているように見える。毎年くっきりと現れる見つけやすい雪形だ。(5日、長野県駒ケ根市から撮影)
また、今回紹介したもののように、雪が解けた岩肌の黒い部分が模様に見えるものを「ネガ型」、逆に、残雪の白い部分が模様に見えるものを「ポジ型」というそうだ。
雪形は、東北地方や信越地方に多くあるという。この時期しか見られない自然の造形美、探しに行ってみてはいかがだろう。
(窪田和恵)






