ヒートアイランド緩和へ新技術
都市部の気温が周辺と比べて異常に高くなるヒートアイランド現象。屋上緑化などさまざまな対策がなされる中、名古屋工業大学セラミックス基盤工学研究センター(岐阜県多治見市)と株式会社ヤマセ(同市)は、多孔質セラミックスを使ったヒートアイランド緩和材の開発を進めている。大学がもつ多孔質セラミックスの製造技術と、地元の製陶メーカーのノウハウを生かした新たな取り組みだ。すでに試作品を名古屋市にある同大学キャンパス内の屋上に施工し、効果や耐久性を調べてきた。今夏には量産化に取り組む方向だ。
従来、ヒートアイランド緩和材として土や塗料などが使用されてきたが、ビル風などによる飛散、日光による劣化など安全性の問題があった。開発した多孔質セラミックスは、気孔率が70%で高い保水機能をもち、粒子分布が均一なため対候性(変形・変色・劣化などを起こしにくい性質)も高いという特徴がある。
利用の仕方は、屋上に緩和材を施工し、全体に水をまく。高い保水性のため大量に蓄えられた水が太陽の照射エネルギーで蒸発し、その際、潜熱を奪いとって建物を冷却する。実験では、屋上の表面温度はコンクリートの場合に比べて約20度下がり、真下の部屋の温度は約2度下がることが分かったという。また、散水しない場合、気孔部に空気層ができるため、冬は保温効果が期待できるという。
ヒートアイランド現象は、空調設備への電力需要の増加・光化学オキシダントの増加といった悪循環をもたらし、また近年は集中豪雨などの局地現象との関連も指摘されている。私たちも、専門家による新技術の開発を待つだけでなく、夏場にエアコンの設定温度を1度上げる、家のまわりやベランダを緑化するなど市民レベルでの努力をしていきたい。
写真1.名古屋工業大学キャンパス内の屋上に施工された多孔質セラミックスのヒートアイランド緩和材
写真2
写真3.多孔質セラミックスを用いた緑化壁(写真2は拡大)
※記事の内容は、岐阜県多治見市・土岐市・瑞浪市を対象にした文部科学省委託事業「環境調和型セラミックス新産業の創出」の研究成果発表フォーラムで報告された。
(窪田和恵)






