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気象から見た"ハドソン川の奇跡"


[2009-01-19 06:23:33]

15日午後3時半(日本時間16日午前5時半)ごろ、アメリカ・ニューヨークのラガーディア空港を出発した旅客機がハドソン川に不時着水、乗客・乗員155人は無事生還した。各メディアでは"ハドソン川の奇跡"と称し、サレンバーガー機長の判断と勇気を賞賛した。

当時の気象記録を見ると、実は気象条件も奇跡的であったものと思われるのだ。
当時の気象状況は気温はマイナス6度と寒かったものの、風向:北-北北西寄り、風速:5メートル、天候:くもり、視程:良好だった。

事故の原因はバードストライク、エンジンに鳥が吸い込まれ破損してしまった。それも両エンジンとも破損したため、推力を失った旅客機はグライダーと化してしまった。

水面への不時着水は、実は陸地への不時着よりも危険だ。
人がプールに飛び込む程度なら問題はない水面も、高速で高いところから着水する航空機にとってはコンクリート並みの硬さになるのだ。
また機体を傾けて着水する場合、一方の翼が先に水に捕らえられ、機体は翼端を中心に激しくコマ周りを起こし大破してしまうだろう。
航空管制官からは、最も近い(それでも西に約16キロにある)テターボロ空港に緊急着陸することを進めたが、両エンジンの止まった旅客機はそこまで飛ぶことはできず、人口密集地への墜落を避けハドソン川へ向かったそうだ。

ハドソン川は北北東-南南西に流れる川であり、ほぼ後ろから吹く風のため機体を大きく傾ける必要が無かったのが最も幸運だった。横風であれば、着水時にコマ周りを起こし大破することは避けられなかったかもしれない。

また事故の3時間前まで雨が降っており、視程が一時1.6キロまで落ちていた。前線の通過による雨だった。
事故発生地点からハドソン川までは約8キロであり、降雨時であればハドソン川も見えず不時着水も思いつかなかったであろう。

さらに当時の日没は4時54分、事故から1時間半しかなかった。日没近くになると地表や水面の見分けも付かなくなるため、ハドソン川への不時着水は無理だったであろう。

ラガーディア空港を飛び立った旅客機の前にはロングアイランド湾が広がっており、着水するならロングアイランド湾を選ぶこともできた。しかしロングアイランド湾は大西洋に直結しているため波も高く、不時着水していれば大破していたかもしれない。
そのためサレンバーガー機長は、波の穏やかなハドソン川、またフェリーなどの船舶も多く迅速な救助が可能なハドソン川を選んだのだろう。
奇跡的な気象条件と機長の的確な判断が、今回の成功を生んだといえよう。
(ジャイヴ川畑)


当時の気象グラフ(ラガーディア空港)15/21は世界標準時15日21時:現地午後4時
http://www.weather.uwyo.edu/cgi-bin/wyowx.fcgi?TYPE=sfgram&DATE=20090115&HOUR=23&UNITS=A&STATION=LGA


当時の気象気象通報式 KLGA:ラガーディア空港 KJFK:ジョン・F・ケネディ国際空港 KEWR:ニューアーク空港 KTEB:テーターボロ空港
KLGA 152051Z 36008KT 10SM SCT044 M06/M15 A3025 RMK AO2 SLP242 T10611150 53014
KLGA 151951Z 34013KT 10SM BKN035 M06/M14 A3022 RMK AO2 SLP234 T10611139
KJFK 152051Z 01007KT 10SM BKN040 BKN250 M07/M15 A3026 RMK AO2 SLP246 VIRGA SE 60000 T10671150 53017
KJFK 151951Z 33010KT 10SM BKN034 BKN055 M07/M14 A3024 RMK AO2 SLP238 T10671144
KEWR 152051Z 29009KT 10SM BKN045 BKN055 M06/M14 A3026 RMK AO2 SLP246 VCSH SW-NW T10611144 53015
KEWR 151951Z 36013KT 10SM SCT040 M06/M15 A3023 RMK AO2 SLP237 VIRGA NW T10561150
KTEB 152051Z 33006KT 10SM FEW060 M07/M16 A3025 RMK AO2 SLP243 T10671156 53015
KTEB 151951Z 33006KT 10SM CLR M06/M15 A3023 RMK AO2 SLP235 T10611150

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