フィリピン フェリー事故と洞爺丸
フィリピン中部のシブヤン島近海で21日、乗員乗客800名以上を乗せたフェリー"MVプリンセス・オブ・スターズ号"(2万3824トン)が台風6号による高波のため転覆し、多数の行方不明者が出る事故が発生したようだ。
AP通信などによると、フェリーは事故前夜の金曜夜にマニラを出発、土曜日の午後にセブ島へ到着する予定だった。ところが航路半ばのシブヤン島近海でエンジンが故障、漂流を続けるうちにシブヤン島沿岸の浅瀬に座礁し転覆してしまった。
船内では午前11時30分ごろに救命胴衣をつけるよう指示があったが、その30分後に転覆、多くの乗員乗客は海に飲み込まれてしまったとのことだ。
当時の台風6号の進路情報を見ると、午前9時に事故海域付近を北西進しており、まさに台風直下で発生した事故だった。
この事故を聞いて思い出したのが、1954年台風15号(マリー)により転覆沈没した洞爺丸事故。
台風が接近しているにもかかわらず天候判断を誤り函館港を出航してしまった洞爺丸は、風が強まって来たため台風が去るまで函館港外に投錨し停泊したが、高波による浸水のためエンジンが故障し、錨を下ろしているにもかかわらず風に流され(走錨)、浅瀬に座礁・転覆してしまった。この事故により乗員乗客あわせて1155名が犠牲となった。
今回のフェリーもエンジン故障の前後に投錨し浅瀬への接近を防いでいたものと予想されるが、秒速38メートルを越える強風で走錨してしまい、浅瀬に座礁・転覆したことが容易に予想できる。
なぜ台風が接近する中、出航したのかは定かでないが、英ガーディアン紙などによれば出航時は雨も降っておらず、警報・注意報も最も低いレベルであった可能性があり、台風を甘く見ていた可能性もあるそうだ。
台風を軽視せず出航を取りやめていれば防げた可能性があるだけに、残念としか言いようがない事故だったと思う。
(ジャイヴ川畑)





