欧州熱波 シロッコの熱い風
気象庁は27日、欧州南東部で続いた熱波について、アフリカ大陸方面から南よりの暖かい風がヨーロッパ南部に吹き込んだことと、晴れた日が続いたことが原因と考えられることを発表した。イタリアやギリシャでは山地の風下側で特に気温が高くなり、フェーン現象も重なったことにより、さらに高温になったと考えられるそうだ。
イタリア各紙によれば、今回の熱波は「シロッコ」によるものだそうだ。
「シロッコ」とはアフリカ大陸からヨーロッパに吹く熱い風のこと。アフリカでは「ギブリ」とも呼ばれる。
サハラ砂漠からの熱風が、地中海を渡る間に湿気を帯び、イタリアに高温の湿った空気として吹きつける。
イタリアから見て地中海対岸にはチュニジア共和国がある。
チュニジア共和国の首都、チュニスにあるカルタゴ国際空港の気象実況を調べてみると、23日-25日にシロッコを観測していたようだ。
なかでも24日のシロッコでは気温45度を観測している。露点温度が9度であることから、相対湿度は12%程度であり大変乾燥していたようだ。
[チュニス 24日実況]
http://weather.uwyo.edu/cgi-bin/wyowx.fcgi?TYPE=metar&DATE=20070724&HOUR=24&UNITS=A&STATION=DTTA
このシロッコが地中海を渡る間に湿気を帯び、ティレニア海(地中海の一部分)に面するナポリに達する。
ナポリ国際空港の気象実況を調べてみると、気温36度、露点温度が16度、相対湿度は31%程度になっていたようだ。
[ナポリ 24日実況]
http://weather.uwyo.edu/cgi-bin/wyowx.fcgi?TYPE=metar&DATE=20070724&HOUR=24&UNITS=A&STATION=LIRN
シロッコがアペニン山脈を越える際にフェーン現象が発生し、山脈の風下側にあたるアドリア海に面したバーリでは45.6度の高温を観測した。
当時のバーリ空港の気象実況では露点温度が報告されていないため、北西にあるアメンドラ空港の気象実況を調べてみると、気温45度、露点温度が11度、相対湿度は13%程度を観測していた。チュニスでの相対湿度とほぼ同じであり、アドリア海沿岸に乾燥した熱風が吹きつけていたようだった。
45度を観測した時間帯は20ノット(最大瞬間風速30ノット)程度の強風も観測していた。「熱嵐」と呼んでもよさそうな風だ。
[アメンドラ 24日実況]
http://weather.uwyo.edu/cgi-bin/wyowx.fcgi?TYPE=metar&DATE=20070724&HOUR=24&UNITS=A&STATION=LIBA
アドリア海に面したリゾート地ペスキチでは山火事が発生。観光客ら約1000人が逃げまどい海岸に殺到、船とヘリコプターで救助されたが、逃げ遅れた2人の遺体が海岸で見つかったそうだ。
シロッコはアドリア海を超え、バルカン半島にも吹きつけていた。バルカン半島内陸のルーマニア・セルビア・ハンガリーにもフェーン現象で熱波をもたらしていた。
セルビア南部にあるニシュのコンスタンティヌス大帝空港の気象実況を調べてみると、気温44度、露点温度が0度、相対湿度は6%程度になっていたようだ。
[ニシュ 24日実況]
http://weather.uwyo.edu/cgi-bin/wyowx.fcgi?TYPE=metar&DATE=20070724&HOUR=24&UNITS=A&STATION=LYNI
今回の欧州の熱波は、高温であると同時に乾燥していることも特徴であり、イタリアだけでなくバルカン半島の各国で火災が発生している。
AFPニュースによれば、シロッコによる熱波は和らいだものの、森林火災の勢いはまだ衰えていないそうだ。
(ジャイヴ川畑)





