空のスポーツ 事故相次ぐ
2日午前11時50分頃、愛知県の知多半島東海岸の美浜町で、62歳の男性がモーターパラグライダーで飛行中、風向きが急変し操縦不能となり、約5キロほど南に流された後、海上に墜落し水死した。
当日の気象状況を再現するため、知多半島西海岸にある中部国際空港のMETAR(飛行場気象実況)を分析してみた。(事故現場との距離は約10キロ)
事故前の9時-11時頃までは、秒速3メートル程度の南南東の風が吹いていたようだった。
天気はくもりだったが、雲の高さはおおむね2000メートル・水平視界も10キロ以上あり、低高度を飛行するモーターパラグライダーにとっては特に危険な状況ではなかったようだ。
ところが11時過ぎから天候は急変した。
強い雨が降り始め、視界が2.5キロ程度にまで落ちてしまった。さらに風向きが反転し、秒速6メートル程度の北西の風が吹き始めた。ときおり秒速11メートル程度の突風も吹いていたようだ。
このためモーターパラグライダーは南東方面へ5キロほど押し流されてしまった。燃料が尽きたのか、あるいは視界が悪く現在位置が解らなくなったのか、パーディゴ ( 空間失調 :上下左右がわからなくなる現象 )に陥り操縦を誤ってしまったのだろうか。結果的に生還することができなかったようだ。
当時の天気図を見ると日本海を発達中の低気圧が東進しており、そこから伸びる寒冷前線が事故発生時間帯に現場付近を通過したようだった。そのため突風や降水などの天候の急変や風向の反転があったのだろう。
寒冷前線の通過に伴い風向が南寄りから北西寄りに変わるのは、予報士試験にも繁出されるほどの事象であり、容易に予想できたはずであった。
事前に気象知識を有するものが天気図で確認していれば防げた事故だっただけに残念でならない。
また、東京でも人気若手芸人がスカイダイビングで予定着陸地点から北東方向に約1キロ流され、赤坂御用地に着陸するという事故も発生した。
プロのインストラクターが操縦するタンデム(二人乗り)でスカイダイビングを行ったが、突然の強風で流されてしまい、着陸に適当なスペースが他に見つからなかったため御用地に着陸したとのこと。
こちらも天気図を見ると、温暖前線と寒冷前線に挟まれた"暖域"と呼ばれる領域にあたり、南寄りの暖かく湿った風が吹きつけ、雨雲や突風が発生しやすいことが予想されていた。
モーターパラグライダーやスカイダイビングは、保管場所もほとんど必要とせず、手軽なスカイスポーツとして最近流行っている。(小型飛行機などは駐機料がかかる)
それだけに気象を軽んじる者も出てきているのかもしれない。
スカイスポーツは命を賭けたスポーツであることを再認識し、飛行前には十分な気象ブリーフィングを行ってほしいものだ。
(ジャイヴ川畑)





