第55回土木学会海岸工学講演会
11月12日(水)~14日(金)にかけて富山県富山市の国際会議場にて、第55回土木学会「海岸工学講演会」が開催された。
この催しでは、日本全国の海岸工学を専門とする研究者たち(各主要大学教授や、建設関係研究所の研究者など)が一堂に集まり、それぞれの研究成果を論文として発表する場だ。
今回の海岸工学講演会では、今年の2月に富山県に甚大な被害を出した「寄り回り波」についてや、最近深刻化されている海岸侵食についての研究発表などが多かった。
まず、「寄り回り波」とは、低気圧が日本海を発達しながら東へ進み、強い寒気と冬型の気圧配置により日本海北部では北~北東寄りの強い風による波が発生し、その波がやがてウネリとなり、また冬型の気圧配置が緩んだ瞬間にさらに周期の長いウネリとなってまとまりながら富山湾へ進入し、富山県に大きなウネリが押し寄せる波のことを言う。また、このウネリの到達には、富山湾が沿岸のすぐ近くまで水深約1,000mという海底が押し迫っていることも大きく関係しているようだ。
そのときのウネリのシミュレーションモデルとして再現して、実際には10m以上、周期も14秒程度と、通常では考えられないようなウネリが到達していたことが明らかとなった。
また、海岸侵食については、ダムなどの建設により自然な土砂の海への流入量が制限されることにより砂の供給が抑えられ、またそうした海岸侵食を防止するために建設された人工構造物により、さらに悪化していることなども発表され、従来は研究者側に立った研究のみの発表が多かったのだが、今回では利用者側に立った研究発表も多く、研究内容も変化しつつあることがうかがえた。
さらには、ライフセーバーの立場から海岸における危険性についての発表などもあり、より生活者に近い実際の議論も活発に繰り広げられていた。
実際の海岸では、津波や台風、低気圧からの強く高いウネリなどによる被害を防止するために、さまざまな研究が行なわれ、それについての人工構造物などの投入も行なわれていて、それにより災害から人命を守っている例も多くあるので、一概にこうした人工構造物の投入に反対することは難しい問題だとは思うが、そうすることによる他への影響(海洋生物やほかの地域での海岸侵食など)についても考え、さまざまな分野での方の意見なども聞いていくことも必要かと思う。さらには、こうした研究がさらに進められることにより、約35,000kmにも及ぶ日本の美しい海岸がいつまでも保全されることを願いたい。
今後、日々海辺を見て、いろいろなことを感じて、考えている我々としては、日々の変化を研究者や行政へ伝えていくことも大切だと思われる。
(小川和幸)





