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2008年09月29日

「アイスクリン」の季節

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日本で初めてアイスクリームが発売されたのは明治2年のことだという。当時「アイスクリン」と呼ばれていたそうだが、同じ名前の一見普通のアイスが、今も高知の各地で売られている。
 
見た目はアイスクリームそっくりだが、食べてみるとシャーベット成分が多く、あっさりしている。現地で販売している方によると、この「アイスクリン」がおいしいのは、これからの季節、最高気温が25~27℃の頃だという。
 
普通に考えたら夏の方がおいしそう。どうして夏ではないのか。尋ねてみると、暑さ厳しい頃は、アイスクリンよりも氷や冷たい飲み物の方がおいしいからだという。冷たい食べ物にもそれぞれ旬があるのだ。これは季節感が薄れがちな現代における、新しい季節感と言ってよかろうか。
(小埜 佳典)

2008年09月14日

土佐の水切瓦

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高知県香南市。太平洋に面した南国の町で、日本国内でも雨の多い地方である。2つ隣の高知市の年間降水量は2627mmで東京の約2倍。台風の季節である9月の降水量が最も多い。
 
写真は香南市で見かけた建物の一部。左側上部と右側中央部にある、壁から斜め下方にニョキッと突き出た突起物がお分かりだろうか。これは「水切瓦」と呼ばれる、高知の古い建物に残る珍しい瓦である。しっくいの壁は雨に濡れると劣化する。この瓦で雨水を跳ね飛ばし、壁に水がかかりにくくするのである。
 
周囲の新しい建物には、このような瓦はなかった。壁の耐水性が上がったため不要となったのであろうが、古くから伝わる雨に対する工夫、現代でも何かに使えないものだろうか、と思った。
 
(小埜佳典)

2008年09月09日

ブロッケン現る

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山で見られる珍しい現象のひとつに「ブロッケン現象」がある。霧に写った自分自身の影が、まるで妖怪のように見える現象だ。周りに後光のように三色の虹が見えることもある。目にした人は必ずと言っていいほど、ブロッケンに向かって両手を振ってしまう。だから、遠くから見ている人にもすぐに分かる。
 
ブロッケンに出会えるのは、
○ 稜線上にいる時
○ 朝か夕方
である。太陽の方向や自分のそばに雲がなく、太陽と反対方向に霧が浮かぶ時にだけ見られる。なかなか条件が厳しい。筆者は特別天然記念物の雷鳥には年に数回出会うが、ブロッケンに出会えるのは数年に一度。かなり珍しい現象と言えよう。
 
季節はたいてい夏。そして、同じような気圧配置になると現れやすいのか、一度見られるとその翌日も見られることが多い。ブロッケンの正体は自分自身の影なのだから、その意味ではありがたくも何ともないはずなのだが、何故かいつ見てもワクワクするのである。
 
(小埜佳典)

2008年09月08日

雲海/動と静

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夏山シーズンが終わった。山は静寂を取戻しつつあり、紅葉シーズンまでの間、登山者の数はグッと少なくなる。新潟・山形の県境付近に連なる朝日連峰は元々登山者の多くない山。この季節、メインのコースをはずれると、ほとんど人に会うこともない。
 
写真は、そんな山中で明け方見かけた雲海の様子である。両者の様子は随分違う。上の写真は静寂の海、下の写真は荒れる海に例えられよう。両者の違いは何か。
 
どちらもほぼ同時刻に撮影したものだが、上の雲海にはまだ太陽が当たっていない。下の雲海にはもう当たっていて、対流活動が始まっている。逆行になりコントラストがはっきりした側面もあるが、太陽に当たっているかいないかの違いが「海の荒れ具合」を左右しているのだ。
 
一口に雲海と言っても、このように様々な姿を見せる。静寂の中、違いを眺めるのもまた楽しい。
 
(小埜佳典)