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2008年08月27日

消えゆく言葉

「ゲリラ雷雨」最近この言葉をよく耳にするようになった。予測の難しい局地的な激しい雷雨のことを指すが、他にもここ数年よく使われるようになった気象関連用語がある。猛暑日、地球温暖化、ヒートアイランドなどである。
 
こういった言葉が新しく知られるようになる一方で、世の中から消えてゆく言葉もある。以前はよく使われていた「不快指数」という言葉などは、最近ほとんど聞かなくなった。
 
大野義輝著「日本のお天気」によると、「不快指数」はアメリカで生まれ、元々は冷暖房のために必要な電力を予測する目安だったという。日本ではどのくらいの人が不快と感じるかを示す指標として使われ、75以上で半数が、80以上で全員が不快と感じるというが、どうして使われなくなったのか。
 
それはやはり、気候変動と関連がありそう。東京の今年8月1日~15日の午後3時の不快指数を計算してみると、79以下だったのは3日間だけ。気象台のデータから計算してみた結果だが、街中ではもっと高い指数を示すだろう。東京の夏は常に不快であって、不快指数を発表する意味がないのである。
 
ちなみに、前出の「日本のお天気」によると、ワシントンの冷房のない官庁は不快指数が86以上になると休みになるという。現在もこのしくみが継続しているかは不明だが、日本では聞いたことがない。
(小埜佳典)

2008年08月25日

マラソンは冬季競技?

北京オリンピック男子マラソンの金メダリスト、ワンジル選手を初めて目にしたのは3年ほど前、仙台でであった。
 
杜の都を掛けるハーフマラソン。今回の北京のレースと同じくワンジル選手は独走、ハーフマラソンで1時間を切る大記録を打ち立てた。
 
北京のレースはスタートから速いペース展開。日本人は誰しも、後半ペースダウンすることを信じていたに違いない。ゴール直前の頃には30℃に届くかという高温下でのレースである。しかし、彼は最後、むしろペースを上げた。インタビューによれば、中盤「我慢して」ペースを抑えていたのだという。
 
マラソンのオリンピック記録がこれまで平凡だったのは、大会が真夏に開催されるから。記録だけを考えるのなら冬季種目に変えてしまえばいい。しかし、今回の彼のレースはそんな雑念を払拭するものだった。「暑いから記録が出ない」とはもはや言えない。オリンピックのマラソンは、これまで以上に過酷な競技になった。
 
(小埜 佳典)

2008年08月12日

暑い夏/残雪に注意を

2nd_残雪注意.jpg
 
登山シーズン真っ盛りの中部山岳・北アルプス。登山口のひとつ上高地は今、観光客、キャンパー、登山客で賑わいを見せているが、この夏の北アルプスは高温にもかかわらず残雪が多め。注意が必要である。
 
雪解けは日射、高温、風、雨によって進む。中でも融雪効果が大きいのは雨水。例えば、小川の水を雪渓上に導水しておくと、水量にもよるが一晩で直径数十cm、深さ数mの大穴が開く。気象庁のHPを見ると上高地の7月の平均気温は平年に比べ1.6℃高いが、降水量は平年値の65%ほど。8月に入っても雨が少なく、融雪が遅れているようだ。
 
筆者の歩いた登山道の入口には、写真のような注意書きが下げられていた。気温が高いからと言って雪が少ないとは限らない。お盆に登山を予定している方は、準備をお忘れなく。
 
(小埜 佳典)

2008年08月07日

下水になった小川

気象の教科書を開くと、短時間強雨の際に注意すべき災害のひとつとして、必ず「中小河川の氾らん」が挙げられている。しかし、今や都心で「小川」を見かけることなどほとんどない。以前「春の小川・梅と桜の競演」でレポートしたが、多くの「小川」が、下水道の一部となってしまったようだ。
 
その意味からすれば、5日に東京都区部で起きた下水道工事中の事故は、教科書通りの災害だったのかもしれない。小川であれば岸の草木にしがみつくことが出来たのかもしれないが、逃げ場のないマンホールの奥では為す術がなかった。
 
降水がごく短時間に下水道に流れ込む現代の都市構造を変えるのは容易ではない。上流の豪雨情報を素早く現場に伝えるしくみが肝要だが、新聞報道を見るに、水道局でも全ての下水道を完全に把握しているわけではなさそうだ。しかれば、今ここで豪雨が降ったとして、いったいどこの下水管が危険に晒されるのか明らかにはできないということか。
 
地下を複雑に巡る下水管。見るだけで流路が明らかな小川と比べ、はるかにやっかいなものなのかもしれない。6日夜も神田川の橋の上では、捜索のためだろうか、消防車が長時間に渡り停まっていた。
 
(小埜佳典)