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雪の降らない初冠雪


[2006-10-24 22:24:27]

5th_エビ.jpg
9月下旬の北海道大雪山系を皮切りに、10月に入って富士山、鳥海山、岩手山など、北日本、東日本の山々から初冠雪の便りが続いている。「初冠雪」とは、山に降った雪がふもとの町から「初めて見えた」とき。雪が降っても、山が雲に隠れて見えないと「初冠雪」にならない。
 
ところで、10月7日から9日に日本列島を襲い、海・山で多くの被害者を出した台風並みの低気圧が、これとは逆の「雪が降らないのに初冠雪を観測」という、珍しい記録を残していった。8日、長野・山梨県境の甲斐駒ヶ岳(2966m)に登った筆者。山頂付近は写真のように真っ白だったが、これは雪ではない。登山者たちが俗に「エビのしっぽ」と呼ぶ霧氷(むひょう)が一面に付いたもの。低温、濃霧、強風の条件が揃うとき、岩や木に霧が凍りつき、風上に向かいキョキニョキと成長する。低気圧による前夜からの強い西風で、西側斜面にびっしり付いたらしい。繰り返すが、これは霧氷であって雪ではない。
 
翌9日付の信濃毎日新聞ニュースは、「8日、南ア・仙丈ヶ岳で初冠雪を観測」と報じた。8日午後から天気が回復、ふもとの飯田から白いものが見えたらしい。仙丈ヶ岳は甲斐駒ヶ岳のすぐ隣の山、標高もほぼ同じ。こちらも雪ではなく霧氷であったに違いない。果たして初冠雪と呼んでいいのだろうか。気象庁天気相談所に尋ねてみた。
 
「初雪の季節に山頂全体が白っぽく見えれば、定義上、それが雪でなくても『初冠雪』ということになります。山頂に人が常駐しませんので、雪かどうかは確認できないのです」
 
新聞報道は正しかった。極めて珍しいことではないかと思うが、残念なのは気象庁飯田測候所が10月から無人化されたため、初冠雪の観測が正式なものではないらしいことである。
 
(小埜佳典)

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