地震時、一番安全なのは洞窟?

福島県阿武隈地方にある洞窟「あぶくま洞」を訪れた。平日の夕方、営業時間終了間際の洞窟はひっそりと、そしてひんやりとしていた。洞窟内の気温は15℃、外は30℃である。
7色にライトアップされた内部にはうねうねとした鍾乳石がひしめく。至る所に水流があって、時には狭い通路を這うように歩かねばならない。やがてひときわ広い空間に出た。9階建てのビルが納まる高さだという。説明してくれたおじさんはこう続けた。
「ここは地震は大丈夫だよ。この空間は8,000万年前からあるんだ。そこの石筍は3,000万年前の、こっちのは4,000万年……」
阿武隈地方は強固な地盤を持つ。首都移転の候補地となった理由のひとつは、地震に強い地域だから。とは言え、洞窟内で地震に遭えば、インディージョーンズではないが上部から槍のように尖った鍾乳石がバタバタと落下、串刺しになりそうな気がするのだ。
何千万年もの地震に耐えてきた事実はとても重い。我々が生きている間に、もっと強い地震が起こる可能性はとても小さい。そう考え直すと、一番安全なのは本当にここなのではないか、と少し思えてきた。
(小埜佳典)