シロアリ、結婚飛翔に注意
シロアリといえば、材木を食害するということで、最も悪名高い生き物のひとつかもしれない。だが、シロアリの生態は意外と知られていないのではないだろうか。シロアリはアリの仲間ではない。形態的にはむしろ、ゴキブリに近い仲間といえるだろう。シロアリは世界に約2200種類生息するが、家屋の害虫となるのは50種ほど。それらの種類も、森林の中では、倒木の『分解者』といて欠かせない存在である。
数日前であるが、ある建物にてシロアリの結婚飛翔に遭遇してしまった。古ぼけた柱の陰から、とめどなく羽蟻が出てくるわ出てくるわ……しまいには数百頭に達していたと思われる。羽のこすれるカサカサ音が空間を支配し、無数の羽蟻が空間を飛ぶので、目や口を開けることも難しいほどだった。
![]()
この『羽蟻』とは、結婚のために巣を飛び出した羽付きのシロアリだ。やがて羽を落としてカップルを作り、王アリ・女王アリとなって新たな巣を築く。女王アリは10~15年間、ひたすら産卵のみに専念――大量の働きアリ・兵アリ(侵入者などと戦う)・羽蟻が誕生し、巣は巨大になってゆく。巣のメンバーの95%は、働きアリで占められるようになる。
シロアリの結婚飛翔は、初夏、雨の翌日の暑い日に起こることが多い。時間帯としては、アリと異なって午前中に多いのも特徴だ。羽蟻がいなくなるとシロアリがいなくなったと思われがちであるが、シロアリ社会は前記のような構造をしている。女王アリがいる限り、巣はどんどん発達するので注意を要する。女王アリは非常に巨大なので一目でわかるというが、多くの場合、巣の奥深くにいるので、私も生きているものを見たことはない。
なお現在の住宅は、シロアリの被害で倒壊することはまずないとされるが、自然災害などの際に被害を拡大させる可能性がある。シロアリは湿気のある材木を好むので、雨漏りは早めに修理する、家の通気性をよくする、天気のよい乾いた日にすべての窓を開放する、などの対策をするとよいだろう。
(金子 大輔)






