カオス理論の先駆者、死去
[2008-04-18 01:52:14]
16日、カオス理論の先駆者である、エドワード・ローレンツ氏が亡くなった。カオスとは、初期のわずかな違いによって、結果が大きく異なるふるまいをいう。そして気象現象こそ、カオスの代表といってもよいだろう。天気予報が当たらない原因も、実はカオスが関わっていることも少なくない。
ローレンツ氏の研究には、次のようなエピソードが残されている。計算結果の検証のため、同一のデータを初期値として複数回のシミュレーションを行うべき所を、二度目の入力の際に手間を惜しみ、小数のある桁以降の入力を省いた。初期値の微細な違いは、結果に大した影響を与えないだろうと考えたためだった。だが結果は大きく異なったのだ。このデリケートな初期状態依存性を、後にバタフライ効果と呼ぶようになった。
バタフライ効果は、「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」とか、「アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる」と表現される。とるに足らない細かなことが、未来を大きく変えてしまうことの例えだ。
天気予報が外れることがあるのも、バタフライ効果が関係すると言われる。地表のどこでチョウが羽ばたくか、いつどこで誰がクシャミをするか、まではコンピューターといえども計算に入れていない。つまり、どんなスーパーコンピューターが登場しようと、100パーセント天気予報を当てることは不可能という結論に達する。我々も、あくびをしたり声を出したり、消しゴムを擦ったり……未来の天気を決める「初期値」を、意図せずとも動かしつづけているのだ。そう考えると、地球上にいるかぎり「自分は関係ない」などという態度を取ることこそ、筋違いと言えるかもしれない。
(金子 大輔)





