「厄介な雨」から5年
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年のお正月は、強い冬型の気圧配置となって全国的に荒れた天気となったようである。寒気が強かったために、鹿児島や潮岬でも初雪を観測している。これまでの正月を思い返すと、どんな正月が印象的であろうか。穏やかな陽気の正月、いてつく寒さの正月、どんよりと雨の降りしきる正月……。関東地方に焦点をしぼると、忘れられない年として2003年が挙げられる。
2003年、東京では正月の三が日全てで降雪が観測された。これは観測史上はじめてのことである。特に強烈な天気だったのが1月3日だ。
この日、最低気温が-0.6℃まで冷え込み、12時になってもわずか0.7℃。かぎりなく真冬日(最高気温が0℃未満)に近い、厳しい寒さだった。昼前から、低気圧の影響で降水が始まった。
関東では一般に、気温が3℃を下回ると雪になる可能性が高くなり、1℃を下回ると大雪の危険性が高いと言われる。こんな気温であるから、降ってきたのはもちろん雪であった。気温から考えると、そのまま大雪になるのは免れられないと思うが、雪はすぐに雨に変わっていった。最高気温が1.8℃であったのに、である。これは、上空に暖かい空気が流れ込んだためだった。地表がいくら冷えていても、上空が暖かければ融けて雨になってしまう。
だが、この日は雨に変わっただけでは終わらなかった。地表が0℃前後に冷えていた、というところに大きな落とし穴があったのだ。そのために、0℃以下になっても凍らない「過冷却」という状態で雨粒が落ちてきていたのだった。「過冷却」とは非常に不安定な状態で、刺激を受ければ容易に凍るというもの。このときの雨粒も、地面や物に当たるたびに凍りついていった(着氷)。路面はつるつるで大変滑りやすくなって相次いで事故が起こり、また電線やパンタグラフにも凍りつき、長時間鉄道に影響が出てしまった。
着氷は、上空が厚い暖気で覆われているのに地表に強い寒気が溜まっているときに起こりやすい。大変珍しい現象ではあるが、影響力が甚大で雪よりもはるかに厄介である。気温0℃前後になっても雨として降っているときは、着氷現象に注意する必要があろう。
(金子 大輔)






